オーツカ
前回は海外製のノンアルコールスピリッツを特集しました。今回は日本のものをいくつか紹介しましょう。
ノンアルコールのお酒と聞いて、スピリッツを思い浮かべる方はまだまだ日本には少ないでしょう。それもそのはず日本ではノンアルコールというとビールやワインといったものが一般的で、ジンやラムといったスピリッツのノンアルコールはバーでたまに見かける程度でした。。しかし2021年現在、コロナ禍がもたらした影響で、日本でもノンアルコールスピリッツが少しずつ展開されてきています。
そのまま飲むのはもちろん、カクテル(モクテル)ベースとして様々なスタイルで味わえるというのも魅力の一つです。
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ノンアルコールスピリッツとは
直訳すると「アルコールの入っていない蒸留酒」。
言葉としては矛盾しますが、蒸留酒からアルコールを除いたもの、ノンアルコールジン、ノンアルコールラム、ノンアルコールウォッカなどを総称してそう呼んでいます。
原材料や製法などは、前回の海外製ノンアルコールスピリッツの特集をご参照ください。
海外製には様々な原材料を使った香り高いものが多くありましたが、日本も負けていません。
Non-Alcoholic Gin NEMA 0.00%
ジャンル:ジン ノンアルコールジン NEMA 0.00%は、2018年に販売が開始された日本初のノンアルコールジンです。 コロナ禍の飲食店飲酒制限により、バーなどでの取り扱いが増加し、一気に知名度を加速させました。 海外製のスピリッツは多少のアルコール成分を含む製品も少なくないですが、NEMAはアルコールゼロに加えて無添加、保存料もゼロ。 健康が気になる方やソバーキュリアスの方はもちろんのこと、妊娠中や授乳中、運転前などアルコールの摂取ができない方にもおすすめです。
バーなどではモクテルのベースに使用されています。
原材料へのこだわり
こだわりのある原材料のバラは八ヶ岳山麓で自主管理している農園にて完全オーガニックにて栽培されているもの。
強いバラの香りは、「オーバーナイトセンセーション」と「ゴルムハマディ」という2種類のバラの使用に由来しているわけです。
そして名水スポットの多い八ヶ岳山麓からくみ取った湧き水は蒸留の際に使用されており、人の体液に近く水分補給にも適しているとされるpH7~7.1の弱アルカリ性の水です。
蒸留へのこだわり
ノンアルコールジン NEMA 0.00%の開発まで研究を重ねて費やしたのは、4年の歳月。
NEMAに使われるジュニパーベリーやジャスミンといったそれぞれのボタニカルに合わせた温度を見極めて個別に蒸留し、最後にこれらの氣水や芳香蒸留水をブレンドするという手法になったといいます。
この蒸留は長野県の標高1000m、アサオカローズのBALAhouse にて行われています。
蒸留からブレンド、ボトリング、ラベリングまですべての工程が手作業であり年間生産本数は少数に限られいるため、クラフト感も高い一本ですね。
豊富な種類
ノンアルコールのNEMAではジンの他にもウイスキーやアブサン、オールドトムテイストまで展開しています。
年1回リリースする限定品のディスティラーズ・カットというものもあり、2020年のモデルは日本のBAR誕生より160周年を記念して、ローズの他にもサザンカやタブノキ、黄金銀杏葉にパセリに椿など160種類ものボタニカルを使用したもの。こちらも年1回の販売ということで生産数も限定されているので、是非とも販売しているうちに一度は飲んでみたい一品ですね。
のん
ジャンル:不明(スピリッツ) 元祖クラフトコーラブランド「ともコーラ」を製造している調香師tomoの第二弾ブランド。 2019年10月から2020年2月の期間、渋谷にてノンアルコール飲料のポップアップ店舗を展開。 そしてこのポップアップ店で提供した中でも特に人気の高かった、それぞれ“洋”と“和”をモチーフにした2品を商品化。
「抽出」「発酵」「蒸留」をテーマとして10種類ほどの新ノンアルコールメニューを提供しました。
たった4ヶ月の間でしたが、テレビ・ラジオ・雑誌の各メディアで話題となりました。
「日本初のノンアルコールスピリッツ」と銘打ち、SNSでも話題になりました。
こだわりは“甘くないノンアル”
「のん」が新しいノンアルスピリッツとしてこだわったのは“甘くない”というテーマ。
本物のお酒のようにドライでボタニカルをしっかりと感じられる、味わい深い一品に仕上がっています。
それぞれの原料も“洋”にはジュニパーベリーやカルダモンにシナモン、“和”には柚子にほうじ茶に山椒など、モチーフにしたイメージそのままの原材料を使用。
三ツ矢サイダーやトニックなどと合わせてモクテルをつくるだけでなく、そのままでも素材一つ一つの味わいを拾える楽しみがあります。
どちらのフレーバーも人気で売り切れが続いているので、それぞれ一つはストックしておきたいノンアルスピリッツです。
青い楽園(洋)
成分:ジュニパーベリー、ラベンダー、カルダモン、ジャスミン、シナモン、オールスパイス、クローブ、ライム、オレンジ、ペッパー、チリ、ナツメグ、レモン
緑の秘境
成分:柚子、ほうじ茶、ヒハツモドキ、山椒、ヤブニッケイ
Natural GIN
ジャンル:ジン ノンアルコールかつノンカロリー・無添加のジンテイストのノンアルドリンク。 使用しているボタニカルは全てオーガニックの素材。
桐箱入りのパッケージにも入っているため、プレゼントとしてもよさそう。
さっぱりとした味わいで、口に含むと鼻にかけて自然な香りが抜けていきます。
健幸美の追求
Natural GINのフレーバーは“Diet&Detox”と”Beauty&Detox”の2種を展開。
ジンは薬用酒としても親しまれており、その原料となるボタニカルの香りはストレスや緊張、疲れをほぐしてリラックスさせるといわれています。
アルコールの代わりにNatural GINを楽しむことで「健幸美」というブランドのモットーにも近づく一歩となるのではないでしょうか。
Diet&Detox
成分:ジュニパー、コリアンダー、カルダモン、アンジェリカ、イリス、シナモン、
Beauty&Detox
成分:ジュニパー、コリアンダー、カルダモン、ローズ、ローズマリー、ラベンダー
オーツカ
/shrb(シュラブ)やSHARAB(シャラーブ)に関しては海外製品に入れました。
2021年、コロナ禍における3度目の緊急事態宣言。そして飲食店の酒類提供禁止。
まさに現代の禁酒法とも呼べる措置により、居酒屋やBarでノンアルコール飲料やモクテルの需要が高まりました。
これまではつくっている数が少なかったので、ノンアルジン、ノンアルウォッカ、ノンアルアブサンなどのジャンル分けがありましたが、数が増えすぎてジャンルで括るのは難しくなってきています。
mitosayaの「ASODA」や北岡本店の「モスコミュールシロップ」、アサオカローズの「スパークリングローズウォーター」などどこに属するのかわからないものも多数あります。
アルコールの有無に囚われずに、香り高い飲料を楽しむ時代は加速しそうです。