ノンアルコール飲料に含まれる成分と栄養素

ノンアルコール飲料に含まれる成分と栄養素

オーツカ

最近では休肝日にノンアルコール飲料を楽しむ方も増えてきていますね。

せっかく体調のために飲むのなら、プラスアルファで健康にいい成分があればなお嬉しい。

そこで今回の記事では、ノンアルコール飲料に含まれている「成分や栄養素」について注目してみました。

調べていくうちに、特定のノンアルコール飲料には「生活習慣病予防」や「美容」に効果的な成分が含まれることが判明したので記しておきます。

ノンアルコール飲料に含まれる栄養素には何がある?

今回調べたノンアルコール飲料は「ビール」「ワイン」「シードル」。

それぞれに含まれている以下の3つの栄養素について見ていきましょう。

  • ノンアルコールビール・・・難消化性デキストリン
  • ノンアルコール赤ワイン・・・ポリフェノール
  • ノンアルコールシードル・・・カリウム

いずれの成分も、生活習慣に不安のある人にこそ摂取して欲しいものばかり。さっそく効果を見ていきましょう。

体に嬉しい成分① 難消化性デキストリン 

難消化性デキストリン

もはやこのサイトではおなじみ、難消化性デキストリンです。

とうもろこしを原料とする水溶性食物繊維の一種。

「特定保健用食品」の表示が付いたノンアルコールビールの中に入っています

 

難消化性デキストリンの効果を説明する前に、特定保健用食品(特保/トクホ) について知っておきましょう。特定保健用食品とは「消費者庁が効能を認めた」保健機能を持つ食品に付けられる表示のこと。認定されるには、厳しい審査や試験をクリアすることが義務づけられています。

つまり「特保ノンアルコール飲料の健康機能は、国のお墨付き」という訳です。

 

そんな難消化性デキストリンは、血糖値、コレステロール値が気になる人やダイエット中の人、生活習慣の乱れが気になっている人にぜひ取ってもらいたい成分。

その詳しい機能について見ていきましょう。

難消化性デキストリンの効果

難消化性デキストリンに認められている健康効果は以下の6点です。

 

  1. 食後の脂肪の吸収を抑える
  2. 食後の血糖値の上昇を抑える
  3. 整腸作用
  4. コレステロールを低下させる
  5. 内臓脂肪の蓄積を減らす
  6. 体内へのミネラル吸収を促進する

 

代表的なのは「食後の脂肪、血糖値の上昇を抑える」というもの。この仕組みについて解説します。

 

難消化性デキストリンは、「難消化」という名の通り消化されづらいのが特徴。消化されづらいとは、すなわち腸内に吸収されにくいということです。腸内に吸収されない栄養は血中を回ることなく、体外に排出されます。

難消化性デキストリンは、糖やコレステロールと結びつき消化を阻害。物理的に吸収の邪魔をすることで、腸壁から吸収される糖やコレステロールの量を減らしてくれる…という仕組みなのです。

 

難消化性デキストリンが含まれているのは「特保」だけ。選ぶ際はしっかりと「特保」表示があることを確認してくださいね。

以下の記事も参考にしてみてください!

トクホのノンアルコール飲料の効果/ダイエットに効果あり

ノンアルコール飲料で体脂肪や内臓脂肪が減らせるのか

 

体に嬉しい成分② ポリフェノール 

続いて、ノンアルコール赤ワインに含まれる「ポリフェノール」について見ていきましょう。

ポリフェノールが入ったノンアルコール赤ワインは、こんな人におすすめです。

  • 肌の老化が気になる人
  • 生活習慣病を予防したい人

老化を防ぎがんや心筋梗塞を予防する ポリフェノールの抗酸化力

突然ですが、人体が老化する原因をご存じですか?

 

答えは「酸化」。そしてこの「酸化」を引き起こすのが「活性酸素」と呼ばれる物質です。活性酸素は大きなエネルギーを持ち、細胞やたんぱく質を傷つけることで肌の老化・生活習慣病の原因になってしまいます。

 

そして、老化・万病の元になる活性酸素を強力に除去するのが、ポリフェノールの力。ノンアルコール赤ワインには、ポリフェノールの中でも活性酸素除去力が特に高いと言われる以下の成分が含まれています。

 

  • タンニン(プロアントシアニジン)
  • アントシアニン
  • リスベラトロール

 

赤ワインに多く含まれるポリフェノールは「タンニン」「アントシアニン」が有名ですが、「リスベラトロール」の存在も無視できません。

リスベラトロールにはダイエットや乳がん防止効果があるとされており、注目が集まっている成分なのです。

 

ポリフェノールを効率的に摂取できるノンアルコール赤ワインは、抗酸化力を高めるのにベストな選択肢。ですが、銘柄を選ぶ時には以下の注意点だけ必ず守りましょう!

 

  • 「低温蒸留法」で造られたものを選ぶ
  • ポリフェノール類の多いぶどう品種(テンプラニーリョ、カベルネ・ソーヴィニヨン)を選ぶ

 

これらのポイントが大切な理由は、ノンアルコールの製法によってはポリフェノール類が除去されてしまうから。せっかくポリフェノール目当てで飲むのであれば、含有量の多いノンアルコールワインを狙い撃ちしましょう。

 

体に嬉しい成分③ カリウム 

最後は、ノンアルコールシードル中に豊富に含まれる「カリウム」についてです。

カリウムは、果実に多く含まれているミネラルのひとつ。リンゴが原料のノンアルコールシードルからは、カリウムがたっぷりと摂取できます。

 

カリウムをたくさん摂取した方が良いのは、以下のような人。

 

  • むくみが気になる人
  • 血圧が高めの人
  • 尿路結石、痛風を予防したい人

 

カリウムは、日本人こそ積極的に取るべきミネラルと言っても過言ではありません。その理由とカリウムの働きを確認してみましょう。

カリウムは塩分多めの生活に取り入れたいミネラル

カリウムの大きな働きは2つあり、ひとつが体内の浸透圧を調整すること。もうひとつが尿のphを安定させることです。

 

「体内の浸透圧を調整する」というのは、血中のナトリウム(塩分)を排出して血圧を正常に戻すことを意味します。

 

実は日本人の塩分摂取量は、世界的に見ても過剰です。WHO が提唱する成人男性の推奨塩分摂取量5gに対し、日本人成人男性の平均の塩分摂取量はなんと11g!厚生労働省が推奨する摂取量は7.5gすら守れていない状態です。 

日本人には高血圧が多い のも特徴で、国民の3分の1が高血圧。その大きな原因は、塩分の取り過ぎによるものです。

 

つまり排塩を促すカリウムは、塩分摂取が多めの日本人は特に摂取必須なミネラルという訳ですね。

ひとつ注意点をあげると、腎臓に疾患がある人のみ摂取制限があること。医師に止められている人以外は、毎日の食生活に積極的に摂取していきましょう!

 

健康にいいノンアルコール飲料を選べば体にも優しい

ノンアルコール飲料の中でも注目すべき成分について触れてきました。

いずれの成分も、研究や実験により効果が明らかにされているものですので、日々の生活に上手く取り入れていきたいものです。

 

これから休肝日にノンアルコール飲料を選ぶ時は、成分に着目して選んでみてください。体に優しい成分を含むノンアルコール飲料であれば、無理なく健康を目指せます。

 

長くお酒を楽しむためにも、ノンアルコールを使った健康習慣を始めてみましょう!

 

参考文献

戸塚昭 他編「新ワイン学」ガイアブックス

ディヴィッド・バード「イギリス王立化学会の化学者が教えるワイン学入門」X-Knowledge

厚生労働省ホームページ(栄養・食生活と高血圧)

ジェイミー・グッド「ワインの科学」河出文庫