欧米でソバ―キュリアスがムーブメントになる中、日本にも「下戸(ゲコ)の人のためのコミュニティ」が立ち上がりました。
それが「ゲコノミスト」です。
2019年6月、独立系投資信託会社を運営する藤野英人氏がFacebookの公開グループを開設。
ノンアルコールドリンクの紹介をはじめ、下戸が楽しめるレストラン、ゲコあるあるなど、下戸ならではの視点で情報交換が行われています。
オーツカ
「ゲコナイト」と呼ばれるノンアルコール飲み会も開催されているようです。
ゲコノミストとは
ゲコノミストはその名の通り、下戸で結成されるコミュニティグループですが、「平成の時代に冷遇されてきたゲコが令和の時代になって立ち上がる」というコンセプトを掲げています。
これまでお酒を飲めないというだけで不当な扱いを受けてきた下戸の人たちの強い憤りを感じますね。
Facebookグループ内に書かれている「ゲコノミスト」の趣旨を以下に引用しておきます。
平成の時代まではゲコは冷遇されていたが、令和の時代になってついに全国のゲコは立ち上がることになった。
わたしたちゲコは、酒飲みの自由を奪うつもりはなく、ただただ共生したいだけである。ゲコやゲコに共感する呑兵衛のための癒しの空間がこのゲコノミストのグループである。
ゲコならではの悩み、ゲコでも楽しめるレストラン情報の共有をここでは行いたい。
オーツカ
僕はノンゲコになるんかな。
不当な扱いを受けてきたゲコノミストたち
ゲコノミストのFacebookグループを除いていると、下戸たちがこれまでに受けた不当な扱いの数々が見受けられます。
いくつか抜粋すると
- 「飲めない」というと「付き合いの悪いやつ」と思われ嫌な思いをした
- 「飲めそうなのにね」と勘違いされることで、まるで相手の期待を裏切ってしまったかのように思える
- レストランで当然のように渡されるワインリストを断るたびに、肩身の狭い思いをさせられた
- 居酒屋でソフトドリンクを注文すると「単価の低いお客認定」される
など、昭和、平成が作り上げてきた「飲める人を中心に置いた酒文化」の弊害が見受けられます。
過去、お酒をたくさん飲める(一気に飲める)=強さの誇示というような側面は確かにあったかと思います。
ただゲコノミスト達が憤慨しているのは「飲める人がすごい」ではなく「飲めない人間が劣っている」かのように扱われるところなのかなと思いました。
たしかに男性の多い職場だとまだまだ体育会系のノリが優勢なところもありますが、昨今では未成年者の飲酒や飲酒運転に対する風当たりが強くなり、こういった酒飲みマウントは「アルハラ」と呼ばれることも多くなってきました。
令和に入り、人々の嗜好はより多様になっているので、レストランの「下戸が来ても客単価が低くなる」という主張も変化してくると思います。
これからの「下戸市場」の可能性
ゲコノミストたちが開催したお酒を飲まない食事会「ゲコナイト」の会費は1人2万円だったそうです。
そして定員(16人)はすぐに埋まったとこのこと。
ここからもわかるように、「下戸が来ても儲からない」とは一概には言えないのです。
お酒を飲む人から見れば「ノンアルコールに高い金額を払うなんてバカバカしい…」と思うでしょうが、これは飲める人の言い分であって、ゲコたちは「下戸を大切にしてくれるレストラン」「ノンアルコールとのおいしいペアリングをしてくれるレストラン」にはしっかりとお金を支払います。
本当に価値のあるノンアルコールドリンクやモクテルであれば、十分に高単価で勝負できるのです。
ニューヨークの高級レストランなどはノンアルコールドリンクメニューも豊富です。
それは、人々の嗜好が異なることを知っており、お客一人一人にすべからく満足してもらえるよう努めているからです。
日本で下戸が注文する飲み物といえば、コーラ、オレンジジュース、烏龍茶といったソフトドリンクがほとんどで品揃えはまだまだ貧弱です。
これではとても世界標準とは言えません。
世界は肉体的、精神的により健康志向に動いています。
これからのレストランや居酒屋にノンアルコールメニューの拡充は必須でしょうし、飲料メーカーは様々なモクテル飲料などを次々投下していくこととなるでしょう。
今後のゲコノミストたちをターゲットとした下戸マーケットは要チェックかと思います。