オーツカ
では、日本にはノンアルコール専門のバーやモクテル専門のバーはあるのでしょうか?
これからのノンアルシーンを占うためにも調査してみました。
以前、若者のお酒離れの記事でニューヨークのノンアルコールバー「Getaway(ゲッタウェイ)」をご紹介しました。
ソバ―バー(シラフのバー)というジャンルに属するこのバーでは、ノンアルコールスピリッツを使ったカクテルやシュラブス(ビネガーと炭酸、フルーツなどをミックスしたドリンク)、ココナッツやアップル&オレンジといったソフトドリンク、コーヒー、お茶などを主に扱います。
もちろんどれもアルコール0%。アルコールに依存しない交流の場をつくり人気を博しています。
同じくニューヨークにオープンした「Listen Bar」も抹茶やコンブチャ(紅茶キノコ)といったノンアルコールメニューを取り揃え、あえて飲まないことがクールとされるソバ―キュリアスブームを後押ししています。
では日本にはノンアル専門店ってあるのでしょうか?
コンテンツ
Low-Non-Bar
都内及び軽井沢ですでに6店舗のバーを経営する宮澤英治氏が仕掛ける新プロジェクトです。
期間限定やポップアップバーといった一過性の店舗が多いノンアル業態において、日本初の専門店。
上写真のモクテルはLow-Non-Barのコンセプトカクテル「Low-Non-Bar」。
店舗の名前を冠したこのモクテルは、鳥を模した形のグラスに苺、ラズベリー、ブルーベリーといったミックスベリーやパプリカと共に、/shrb orange & gingerという、ビネガーをハーブ、スパイス、果物でフレーバー付けした飲料が使われています。
コロナ禍で休業を余儀なくされた際は通販サイトでノンアルカクテルを販売しました。僕も買いましたので近いうちレビューするかな。
住所:東京都中央区日本橋3-2-4 nefi nihombashi 1階
https://www.facebook.com/Low-Non-Bar-102809344666176/
The Mocktail Bar MORI – ザモクテルバーモリ
5種類あるモクテルは全てジャケットのシールが違い、味覚だけでなく視覚でも愉しめます。
たとえば「ノンアルコール モヒート」には、モヒートの本場キューバでおなじみの品種のミント“イエルバブエナ”を使用。
「ノンアルコールジントニック」はオーダーを受けてから10種類ものドライハーブをすり鉢ですり潰し、そこに湯を注いで瞬間抽出するというこだわりよう。
独創的な店舗外観もモクテル同様にインスタ映えする佇まい。大阪のビジネス街から新カルチャーを発信中です。
住所:大阪市西区西本町1-7-21 ニシモトビル1F
Bar Straw(バーストロー)
2019年、神楽坂の本屋『かもめブックス』のカフェ部分を利用し、本屋の定休日に営業を開始。
その後も、スライス売りのピザを日本に持ち込んだ人気店『PIZZA SLICE(ピザスライス)』六本木店や学芸大学のフレンチビストロ『TOKIYA(トキヤ)』とノンアルコールドリンクのペアリングを展開。
現在は、渋谷PARCOの1階にある花屋『THE LITTLE BAR OF FLOWERS』で毎週月曜と火曜の夜に営業しているようです。
今後も基本は店舗やブランドとのコラボレーションスタイルを軸に活動を続けていくようです。
最新情報はこちらで追えます。
https://www.instagram.com/bar_straw/
the NON-AL STAND -のん-
「お酒に弱い人たちでも、夜の時間を気軽に、我慢せず楽しめるようにしたい」
「ノンアルコールでも選ぶ楽しさやストーリーまで味わえるようなものを」
というコンセプトの元、渋谷の食の実験場ツカノマノフードコートに期間限定でオープンしたノンアルコール専門店。
プロジェクトを手掛けるのは、クラフトコーラの火付け役であるユニット〈ともコーラ〉とレモンサワーの火付け役である〈the OPENBOOK〉オーナーの田中開氏。
抽出、発酵、蒸留の3つのテーマでメニューが決められており、「和バラとベリー」「ゆずとジュニパー」など様々なドリンクを提供しています。
中でも「のん特製ノンアルコールジン」は30種類以上のボタニカルや旬の果物を使用することで、本物のジンのような味わい深い仕上がりになっており、トニックウォーターで割ればジントニックさながら。
現在は閉店していますが、次の展開が気になるところ。
https://www.instagram.com/thenonalstand/
専門店以外にもノンアルコールメニューが豊富にあるお店
専門店ではありませんが、ノンアルコールを常時置いている店舗やBarも増加傾向にあります。
fünklein/フュンクライン
「のん」をプロデュースした田中開氏がファウンダーを務める表参道GYRE4階の「fünklein/フュンクライン」。
ビールサーバーの蛇口タップから直接注がれるカクテル、通称タプテルが人目を惹く斬新なスタイルのバー。
こちらでも自家製のジンジャエールに、琉球シナモンと島唐辛子のエッセンスを加えた「唐木ジンジャエール」などのモクテルを展開しています。
No./ナンバー
代々木上原の「No./ナンバー」はクリエイティブチーム「301」のデザインオフィスに併設された新感覚のカフェバー。
コーヒーやカクテルはもちろんこだわりのモクテルも楽しめる、クリエイティブなお店。
店名の 「No.」はカクテルを誰もが気軽に選べるよう、カクテルの名前や気難しさを排除した「ナンバリング方式」に由来しているそう。
The SG Club/エスジー クラブ
2012年のバカルディカクテルコンペティションにて、優勝経験を持つ後閑(ごかん)信吾氏が経営するバー「The SG Club/エスジー クラブ」。
ブルックリンスタイルのインダストリアルな佇まいの建物には、昼下がりからノーチャージで飲める1階の「Guzzle」と18時から幕が開くオーセンティックバー「Sip and Shine」を地下に併設。
お茶割りやレモンサワーといったカジュアルなカクテルから、自家製ノンアルコールジンなどを使ったモクテルを提供しています。
テイクアウトコーナーも存在しています。
BAR燐光/バーりんこう
神楽坂駅からすぐ、カウンター10席の美しく可憐なBar。
ノンアル・禁煙タイムを導入しており、ノンアルコールはチャージフリーで楽しめます。
お茶やコーヒー、酢などを用いた個性的なノンアルコールカクテルも存在し、その丁寧な手仕事ぶりには目を見張るものがあります。
酒器をはじめ、花、器、本などひとつひとつにこだわりが感じられ、その佇まいはまさに夜の帳を照らす淡い燐光のよう。
Peter Bar/ピーターバー
東京・有楽町の高級ホテル、ザ・ペニンシュラ東京の中にある「Peter/ピーターバー」。
ステーキ&グリルダイニングに併設されたラグジュアリーなバーで、2007年から開業しています。
同ホテルのビバレッジマネージャーの鎌田真理氏は、2017年に開かれた「全国モクテルコンペティション」での優勝経験を持つモクテルのプロフェッショナル。
鎌田氏は元来お酒を飲めない下戸体質ではあるのですが、バーの空間や酒場の雰囲気が大好きといいます。
現在も国内外でモクテルを飲み歩き、研究し、スタイリッシュなモクテルを生み出し続けています。
sio/シオ
2018年にオープンした代々木上原にある人気フレンチ。
Jリーグの練習生、小学校の教師を経て、料理の世界へ入門した異色の経歴をもつ鳥羽周作氏のレストランです。
素材の本質を見極めた繊細で独創的な料理は国内外から高い評価を得て、ミシュラン一つ星を獲得。
オリジナリティ溢れる料理コースとペアリングするドリンクにはノンアルコールも用意。
斬新な世界観で料理業界に新たな風を吹き込んでいます。
ノンアルコール専門店の行く末
ノンアルコール専門店はまだまだ日本では少ない印象です。
しかしながらモクテルを扱っているバーは徐々に増えてきており、多様化する日本人の嗜好に合わせ、様々なアプローチをとっています。
どの店舗もスタイリッシュではあるのですが、ターゲットによりブランディングの展開が異なっているのが面白いですね。
バー文化の延長線上にある高齢富裕層向けの店舗は、主にFacebook。
カフェ文化や健康志向の延長にあるカジュアルな若年層向けの店舗はInstagram。
人やコンセプト共有型で売っていく場合はTwitterと、使用するSNSにも差異が見られました。
今後どのようにノンアルコールバーが日本に浸透していくのか注視していきたいと思います。