オーツカ
「ノンアルコールビールだから大丈夫」とは思いつつも、運転を控えている身だからドキドキしながら飲んだなんて経験ありませんか?
そんな気持ちで飲んでも美味しくありませんし、楽しくもないと思うので、本記事ではノンアルコールビールと飲酒運転の関係について解説しています。
これを読み、後ろめたい気持ちに終止符を打ちましょう。
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ノンアルコールビールは【本当に】ノンアルコールなのか
ノンアルコールビールが「ノンアルコール」と表示できる根拠は酒税法にあり、日本ではアルコール分1%以上の飲料を酒類としているので、1%未満の飲料はノンアルコールとなります。
このため、下町の人気者ホッピーはアルコール分が0.8%なので実はノンアルコール飲料なのです。
「そこそこ入ってるじゃん。ノンアルコール飲料でも飲みすぎたら飲酒運転になりそう。」と思う方もいるかもしれません。
でも安心してください。
日本の飲料メーカー大手が販売しているノンアルコールビールはほとんどがアルコール分0.00%です。ちなみに0.00%表示はアルコール分0.005%未満の商品という証拠なので、本当に微量ながらアルコールが含まれていますが限りなくゼロに近いことになります(このアルコール含有量は果物と同じくらい)。
そもそも飲酒運転の基準はどれくらい?
道路交通法では飲酒運転(酒気帯び運転)の基準を、呼気1Lあたりのアルコール濃度が0.15mg以上と定めています。果たして、アルコールをどれくらい摂取すると飲酒運転になるのでしょうか?
呼気1L中のアルコール濃度が0.15mgになる血中アルコール濃度は、一般的に1mlあたり0.3mgです。
つまり、血中アルコール濃度が0.3%に達すると飲酒運転の基準を超えることになります。
では、体重70kgの成人男性を対象に、どれくらいのアルコール量を摂取すると基準を超えてしまうのか、ちょっとシミュレーションしてみましょう。
まず、成人男性の血液量は体重1kgあたり75ml(約8%)なので、体重70kgの成人男性には5.25Lの血液が流れています。血中アルコール濃度が0.3%以上になると呼気中のアルコール濃度が基準値を超えるので、単純に考えると15.75mlのアルコールを摂取すると基準値を超えます。
もしもアルコール分0.00%表示のノンアルコールビールで15.75mlのアルコール量を摂取するとなると、一度に315Lも飲む必要があります。350ml缶に換算すると体重70kgの成人男性が900本ノンアルコールビールを飲むとこれに相当します。絶対に無理ですね。
つまり、アルコール分0.00%表示のノンアルコールビールをいくら飲んでも飲酒運転にはならないので安心してください。
改めて確認したい飲酒運転の罰則
飲酒運転には実は2種類あります。
前述した飲酒運転の基準は「酒気帯び運転」に該当し、違反すると3年以下の懲役又は50万円以下の罰金が課せられる刑事罰に該当します。
また、0.15mg以上0.25mg未満で違反点数13点と最低90日間の免許停止処分になり、0.25mg以上で違反点数25点と免許取り消し処分&最低2年間の欠格期間になります。
そしてもう1つの種類が「酒酔い運転」です。
これは、アルコール濃度の検出値に関係なく酒に酔った状態で運転が困難だと思われる状況で運転することを意味します。「検出値に関係なく」というのがかなり重要なポイントで、実は呼気1L中のアルコール濃度が0.15mg未満でも、極度にお酒に弱い方は酒酔い運転に該当してしまう可能性があるのです。
前述のようにホッピーなど一部のノンアルコール飲料には0.5〜0.9%のアルコール分が含まれているので、場合によってはどちらかの飲酒運転に該当する危険性があります。ちなみにホッピーは単体で2L弱飲むと酒気帯び運転の基準を超えるので、嗜む際は運転を控えるのがベターでしょう。
フィンランドやオーストラリア、ドイツやフランス、スペインなどは0.5mg/ml以上。アメリカやイギリスは0.8mg/ml以上となっています。逆に、アルバニアやスウェーデンは日本より基準が厳しいです。
国 | 一般ドライバー | 商用ドライバー | 初心者ドライバー |
---|---|---|---|
オーストリア | 0.5 | 0.1 | 0.1 |
ベルギー | 0.5 | 0.2 | 0.5 |
ブルガリア | 0.5 | 0.5 | 0.5 |
クロアチア | 0.5 | 0.0 | 0.0 |
キプリス | 0.5 | 0.2 | 0.2 |
チェコ | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
デンマーク | 0.5 | 0.5 | 0.5 |
エストニア | 0.2 | 0.2 | 0.2 |
フィンランド | 0.5 | 0.5 | 0.5 |
フランス | 0.5 | 0.5 | 0.2 |
ドイツ | 0.5 | 0.0 | 0.0 |
ギリシャ | 0.5 | 0.2 | 0.2 |
ハンガリー | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
アイルランド | 0.5 | 0.2 | 0.2 |
イタリア | 0.5 | 0.0 | 0.0 |
ラトビア | 0.5 | 0.5 | 0.2 |
リトアニア | 0.4 | 0.0 | 0.0 |
ルクセンブルグ | 0.5 | 0.2 | 0.2 |
マルタ | 0.5 | 0.2 | 0.2 |
オランダ | 0.5 | 0.5 | 0.2 |
ノルウェー | 0.2 | 0.2 | 0.2 |
ポーランド | 0.2 | 0.2 | 0.2 |
ポルトガル | 0.5 | 0.2 | 0.2 |
ルーマニア | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
スロバキア | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
スロベニア | 0.5 | 0.0 | 0.0 |
スペイン | 0.5 | 0.3 | 0.3 |
スウェーデン | 0.2 | 0.2 | 0.2 |
イギリス (スコットランド) |
0.8 (0.5) |
0.8 (0.5) |
0.8 (0.5) |
スイス | 0.5 | 0.1 | 0.1 |
出典:欧州交通安全協議会(ETSC = European Transport Safety Council)
安心して飲めるノンアルコールビール
「じゃあ、一体どのノンアルコールビールなら安心して飲めるの?」とまだ不安感を抱いている方のために、安心して飲めるノンアルコールビールをまとめてみました。
シラフでは日本で流通しているほぼすべてのノンアルコールビールを実際に飲んでいます。
サントリー オールフリー
元祖ノンアルコールビール。業界で長い間トップシェアを誇り、数あるノンアルコールビールの中でも特に香りが高くなっています。キレの良さとマイルドさを上手く融合させ、清涼感と高級感が両立しています。
アサヒ ドライゼロ
「目指したのは、最もビールに近い味。」のコンセプトを体現するように、キレの良さを追求したノンアルコールビールです。限りなくビールと同じテイストを追い求める方におすすめ。
キリン 零ICHI(ゼロイチ)
グラスに注いだ瞬間、色の濃さと泡立ちの良さで本物のビールを彷彿とさせてくれます。口に運ぶとノンアルコールビール独特の水っぽさはあるものの、麦芽とホップの香りをしっかりと感じられるのもGood。
日本ビール 龍馬1865
坂本龍馬好きなら思わず手に取ってしまうパッケージ。原材料は麦芽とロースト麦芽、そしてホップのみで添加物は一切入っていません。アセスルファムKなどの甘味料も気になるという健康志向の方へ。
海外産の一部ノンアルコールビールには注意が必要
日本の大手飲料メーカーが販売してるノンアルコールビールは比較的安心して飲めますが、注意が必要なのは海外産の一部商品です。
ドイツの国民的ノンアルコールビールの「エルディンガー アルコールフリー」は世界的に人気の高い商品ですが、アルコール分は0.4%とちょっと注意しなければなりません。
4L弱飲むと飲酒運転の基準を超えるので、大量に飲む際はやはり運転を控えた方が良いでしょう。
また、体調によっては半量でも飲酒運転に該当する可能性も否定できないので注意してください。
最も気をつけていただきたいのは「ブローリープレミアムラガー」です。
ノンアルコールビールと言えどアルコール分は0.9%とホッピーよりアルコールが多く含まれています。いわゆるローアルコール飲料です。
1,75L飲むと飲酒運転の基準を超えるので、これはアルコール飲料として考えた方が無難です。休肝日などに上手に利用したほうがよさそうです。
この他にもアルコール分が0.5%以上含まれているノンアルコールビールはたくさんあるので、運転を控えている方は飲む前にしっかりと栄養表示を確認してください。
正しい知識でノンアルコールビールを楽しもう
ビールは飲みたいが運転が控えている。
アルコール飲料は苦手だけどビールの味が好き。
そんな時、ノンアルコールビールはわがままな願望を叶えてくれる夢の飲み物でしょう。
ノンアルコールビールを飲む際は本記事に書かれていることを思い出し、正しい知識を持って「後ろめたさ0.00%」で存分に楽しんでください。