なぜ未成年はノンアルコールビール(ノンアル飲料)を飲んではダメなのか

なぜ未成年はノンアルコールビール(ノンアル飲料)を飲んではダメなのか

オーツカ

酒屋やコンビニなどで何気なく並んでいるさまざまなノンアルコール飲料。

しかし日本では独自の自主規制があり、未成年は購入できないのです。

そこで今回は海外の事例も含め、ノンアル飲料の是非を考えてみました。

ノンアルコール飲料の定義

おさらいですが、一般的にノンアルコール飲料とは、アルコール度数が0.00%~1%未満のアルコール飲料を指します。主にビール、チューハイ、ワイン、日本酒などが存在し、味がよくお酒に弱い人でも手軽に飲めることと、健康志向の影響で、近年急速に需要を伸ばしています。

つまり、日本ではアルコール分1%以上の飲料を酒類としているというわけです。

未成年がノンアルコールビール(飲料)を飲むのは「違法」か?

結論から言うと、ノンアルコール飲料を未成年が飲んでも、法律上は何ら問題はありません。

ただし、ノンアルコール飲料は基本的に20歳以上の成人を対象に作られているため、味や風味はかなりお酒に近く作られています。ジュースが好きな小学生がノンアルコールビールやノンアルコールシャンパンを飲んでも、ぜんぜん美味しくないでしょう(一部には好きな方はいると思いますが)。

中学生や高校生が「大人味を楽しもう」と思うのであれば、便利な飲み物であるのも事実。親しい友達と集まって公園で飲んでいても「飲酒で補導される」なんてことは一切ないのです。法律上は。

世間の目と奇妙なノンアル自主規制が壁に

ただし、問題点もあります。
それは酒税法を所管する国税庁が「未成年にはノンアルコール飲料を販売しない」という通達を小売業界に出して連携し、自主規制を定めていることです。

これはノンアルコール飲料が成人を想定して作られているため「ノンアルコール飲料はアルコールに準じる」という意味合いが大きく、例えばコンビニや酒屋さんで未成年がノンアルコールビールなどを買おうとしても、身分証明書の提示が求められ、そこで未成年と判明すれば絶対に買えません。

ただしネットの通販サイトでは年齢に関係なく、未成年がノンアルコール飲料を購入することもできてしまいます。

要するに店舗で大っぴらに未成年がノンアルコール飲料を買うことは許さないが、通販は大目に見る。という奇妙な方針でやっているようです。※最近では成人しているかどうかのチェック項目がECサイトにも導入されつつあります。

警察に捕まることもある?ノンアルコール飲料の落とし穴とは

 仮に未成年がノンアルコール飲料を入手したとしても、自動車やバイクに乗る方は注意が必要です。

なぜならノンアル飲料のアルコール度数は商品によりバラバラで、アルコール度数が0.8%あるホッピーや、ブローリーなどの、0.9%のノンアルコールビールも存在するからです。

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こういったアルコール度数が比較的高いものを何本も飲んで車やバイクを運転すると、お酒が弱い体質の人は、酒気帯び運転で検挙される可能性が出てきます。

酒気帯び運転はそれと思しき運転者が警官に呼び止められ、パトカーで専用の機械の中に息をフーッと吹き入れさせられ、呼気1リットル中のアルコール濃度が0.15mg以上だった場合に検挙されます。

上記のブローリーだと1,75L飲むと飲酒運転の基準を超えるわけです。気を付けないといけません。

ちなみに、酒気帯び運転罪が確定すると13点の減点および免許停止90日間、さらに3年以下の懲役または罰金が20万円~40万円(最高50万円)が課せられます。まぁ初めから懲役という事はまず無いですが、初犯の罰金相場はだいたい30万円ぐらいです。

 

つまりノンアルコール飲料と言っても世間一般の認識では、アルコール飲料の一部とみなす人がほとんどで、「未成年が気軽に飲んでよい」と思う人は少ないということです。

健康被害などは各人されていませんが、未成年への世間の目と風当たりは「かなり強い」というのが日本の現状でしょう。

海外の未成年ノンアルコール事情

欧米はアルコールへの警戒心が伝統的に強い

欧米で大多数を占めるキリスト教徒は大昔から「アルコールへの警戒心」が強く、1920年代から始まったアメリカの禁酒法に代表されるように、飲酒そのものが禁忌とされていた時代がありました。

その影響で欧米では未成年の飲酒にかなり敏感。
例えばアメリカやイギリスでは未成年がノンアルコール飲料を買おうとすると社会保険番号を求められ、日本と同じく未成年は酒屋やパブなどの小売店では購入することができません。

ですがこれも日本と同じく、通販でなら未成年でも普通にノンアルコール飲料を購入することが可能なのです。

要するに「目立たずに飲むなら大目に見てやる」というのは共通していますが、これには欧米特有の特殊な事情が絡んでいます。

この「抜け道」は、完全規制してしまうとアメリカ禁酒法時代のアル・カポネのように、商品の横流しも含め、未成年を対象にした非合法なノンアルコール飲料の出現につながってしまうという、当局側の意図もあるようです。

飲める人が100%?欧米特有の事情とは

日本人は「アルコールに弱い体質の人」が全体の約4割を数えます。

しかし黒人も含め、欧米人で酒に弱い体質の人はほとんど存在しません。
これは未成年も同じで、100%酒に強い体質の人ばかりなのです。

しかし危険なことで、飲める体質でアルコールに耐性があるからこそ、脳が簡単に酒の快楽に溺れ、精神的にも酒に依存しやすくなるのです。

つまり欧米ではアルコール依存症患者が非常に多く、アルコールを主原因とする病気や犯罪が、日本とは比較にならないほど多いのです。

だからこそ欧米人はノンアルコール飲料を求めている

日本ではお酒の弱い人向けにノンアルコール飲料が開発されましたが、欧米では自らの体質により発生する「アルコールの災禍」を少しでも減らすために、昔からノンアルコール飲料を推奨し、啓蒙し、街にあふれるドリンカー(酔っ払い)を排除するため、1時は禁酒法まで制定しました。

つまり日本とはノンアルコール飲料を作る理由や文化、成り立ちが全然違うのです。
だからこそ欧米社会では脱アルコールの機運が高く、昨今の健康志向と相まって、若者を中心にノンアル飲料の需要がいま飛躍的に伸びています。

結論として未成年はノンアルコールビール(ノンアル飲料)を「飲まないほうがよい」

なぜならノンアル飲料はあくまで成人を対象にした商品で、未成年向けに開発されたものではないからです。

またノンアル飲料を複数人のグループで飲んだ場合は「空酔い」という、あたかも本当に酔っ払ったかのような、擬似酩酊状態になることが、専門機関の研究で明らかになっています。いわゆるプラシーボ効果というやつですね。

こういった空酔いを繰り返すと、そのうち本物のお酒が欲しくなります。

そして実際にお酒を飲み、酔って気が大きくなり、人を傷つけたり、無謀な飲酒運転で大事故を起こせば、一生取り返しがつかない事態になることも十分に考えられます。

10代からの飲酒は、将来アルコール依存症に掛かるリスクを大幅に高めるという研究結果もあります。

このようなリスクを事前に避けるためにも、未成年はノンアル飲料を安易に飲むべきではないのです。