オーツカ
スーパーマーケットによっては、ノンアルコール飲料がずらりと並ぶコーナーが設置され、今日のノンアル人気を体現しています。
ノンアルコールビールの味はビールそのものですし、「ノンアルだよ」と言われなければ気づかない人もいるでしょう。
今回はノンアルコール飲料が脳に与える影響を、科学的に実証した研究結果をもとに、ノンアルコール飲料の意外な効果を見ていきましょう。
ノンアルコールビールはリラックス効果てきめん
アルコール成分が脳に与える影響は昔から調査されています。有名な研究が1981年にイギリスのマーモット博士が疫学調査によって証明した「飲酒と死亡率のJカーブ」です。
引用:アサヒ お酒がもたらす身体的なメリット
これは全く飲酒をしない人を「1」として、飲酒が死亡率に与える影響を調査したものです。
飲酒量が適正に近づくにつれて、見事に「J」の字でカーブを描いています。アルコールに対する耐性・年齢・健康状態によって異なるそうなので、必ずしもお酒を飲んだからといって死亡率が下がるわけではありません。
では、ノンアルコールビールの効果はどうか?
実は、麦芽とホップを原料とするノンアルコールビールにはリラックス効果が確認されています。
その要因となるのが「ホップ」です。
多年草で8月後半に収穫が始まるホップには、「β(ベータ)-ユーデスモール」と呼ばれる成分が含まれています。この成分は自律神経の調整を行い、精神的ストレスから生じる交感神経の興奮状態を抑制し、脳と体にリラックス効果をもたらします。
「β(ベータ)-ユーデスモール」は当然ながらビールにも含まれていますが、ノンアルコールビールはアルコール分が含まれていないため肝臓や脳へのダメージが少なく、健康的にリラックスできる飲料なのです。ちなみにノンアルコールビールが睡眠に与える影響についても調査されており、リラックス効果から快眠できるとの声も挙がっています。
麦芽も少なからず良い影響を与えてくれる
もう1つの成分である麦芽も、脳に良い影響をもたらすといいます。
麦芽とは大麦の芽を出させたもので、ビールだけでなく水飴の原料にもなります。麦芽には「ホルデニン」という成分が含まれていて、快楽ホルモンと呼ばれるドーパミンに作用します。
ドーパミンが分泌されると人は幸福感を感じ、心身ともにリラックスできます。ドーパミンに作用する17種類の成分のうち、ホルデニンは特に作用力が強いため、ノンアルコールビールを飲むことでリラックスできるのは麦芽とホップ、2つの成分が大きく関係していたわけです。
子供の頃、「大人は苦いはずのビールを、何であんなに美味しそうに飲むのだろう?」と不思議に思ったことがあるでしょう。それは大人になりビールの美味しさが分かるようになっただけでなく、麦芽とホップの作用によって幸福感を感じ、リラックスできるからなのかもしれませんね。
ノンアルコールビールが脳に与える影響を実際に検証
「アルコール分が含まれていない」ことで何となく健康的だと考えられてきたノンアルコール飲料。それを実証すべく行われたのが、オランダ・ヴァーへニンゲン大学の研究者らによる「Brain Responses to Anticipation and Consumption of Beer with and without Alcohol:アルコール・ノンアルコールビールに対する期待と消費の脳反応」という研究です。
被験者は21人の健康かつ正常体重の右利き男性(平均年齢25.1歳)で、ビール及びノンアルコールビールを飲んでいる最中の脳の動きをMRIによって可視化しました。被験者にはアルコールの有無は知らされておらず、全ての飲料が「ビール」として提供されています。
結果として何が分かったのか?
なんと、「ビール及びノンアルコールビールを飲んだ際、脳が感じる報酬系への影響に有意差は認められなかった」そうです。要するに、ビールを飲んだ時の幸福感、ノンアルコールビールを飲んだ時の幸福感。これら脳が感じるものはどちらもほとんど同じということ。
この調査結果から導き出される仮説は、「アルコール成分は脳で感じるものではなく、舌で感じるもの」なのでしょう。実際に、低アルコールビールを飲んだ際、脳器官でアルコール成分を感知できなかったそうです。
つまりノンアルコールビールは、アルコール成分の有無を除けば「限りなくビールに近い存在」であり、ビールと同等のリラックス効果が得られる可能性があります。しかもノンアルコールなので、脳や肝臓に与えるダメージは少なく、健康的に幸福感を感じられる飲料として期待できます。
「今日は良いことなかったな…」そんな時こそノンアルコール!
プレゼンで大失敗、上司に叱られた。
傘を忘れて土砂降りの中帰宅、何もない所で転んで恥ずかしい思いを…。
などなど、長い人生の中で「ついていな日」は必ずあります。
今までならば「今日は良いことなかったな…」と帰宅して、プシュッとお酒を開け、グビッと飲む。アルコール成分で気分を高揚させて、1日の締めくくりにする。そんなリフレッシュ習慣を持つ方も多いでしょう。
そこで思い切って、お酒をノンアルコール飲料に変えてみる日を作ってみるのはいかがでしょう。
多くの調査結果から、ノンアルコール飲料はアルコール成分を除き、お酒と同等のリラックス効果があるとされています。アルコール成分が無いので悪酔いすることも、睡眠の質を下げることもありません。むしろ炭酸と独特の苦味、そして清涼感によって気分をリフレッシュして快眠できるのはノンアルコール飲料の大きなメリットです。
気分が落ち込む日こそノンアルコール飲料を飲むことで、もしかするとお酒よりも良い効果があるかもしれません。「アルコールが含まれていない飲み物は口にしない主義でね」、そんな渋い方もぜひ、ノンアルコール飲料に手を伸ばしてみてください。
適度に取り入れれば健康的な生活が送れますし、何よりノンアルコール飲料は思っている以上に美味しいものなのです。